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香西勉の異常な面接

1990年代中頃のことである。学生だった筆者はキーエンスを受けることにした。すでにバブル経済が崩壊した後のことである。
当時のキーエンスはまだ知名度は低いものの、FA業界(ファクトリーオートメーション業界)で急成長の企業として投資家などから注目されていた(当時、インターネットが未発達だったので、キーエンスの悪評は世間にそれほど広まっていなかった)。
キーエンスの本社が大阪府高槻市の小さい建物にあるときだった。

筆者が香西勉を最初に見たのは、キーエンスの就職セミナーであった。
会社のセミナーで自分の名前をことさらにアピールする変な人物だった。
他社の就職セミナーでこんな人間を見たことは後にも先にもなかった。

そして、キーエンスの SPI 試験に受かったので、キーエンスに呼ばれて面接を受けることになった。

 

面接は学生4人と面接官3人(香西と技術者2人)の集団面接だった。
香西は「みなさんは何か熱心にされたことはありますか?」と質問した。

 

筆者は国家資格「第一種情報処理技術者試験」を取ったことを話した(今の応用情報技術者よりも難易度が高い)。

 

すると香西が「私はよく知らないのですけど、それってそんなにレベルの高い資格なのですか?」と言ってきた。
明らかに「そんなレベルの低そうな資格をアピールするな」と言わんばかりである。
資格のことを知らないくせに「レベルが低い」と決めつけてくる低能が香西勉である。

 

東証一部上場の企業でここまで低能な奴が面接官をしているとは思わなかった。これは想定外であった。

仕方がないので、資格の説明をした。
しかし、香西は人の話を聞こうともせず、「そんな資格をアピールするな!」と激怒し始めた。
香西のあまりもの剣幕に香西の隣りにいた気の弱そうな技術者の1人は気の毒なことに震えていた。
他の学生も静まり返っており、もう1人の技術者はその場を取り繕うとして必死になっていた。
こうやって会社の同僚にも迷惑をかけるのが香西勉である。

 

香西は他の学生にも同じ質問を始めた。

 

 他の学生の1人:「ちゅ・・・中学生の家庭教師をやっていました」
 香西:「その生徒は希望の高校に行けたんですか?」
 他の学生の1人:「行けました」
 香西:「それは良かったですね」

 

中学生の家庭教師の難易度はその中学生がどのレベルの高校を目指すかによって変わる。
その学生は産近甲龍の大学生なので、偏差値の低い中学生の家庭教師だったのだろう。
偏差値の低い中学生の家庭教師をするなんて「第一種情報処理技術者試験」よりも遥かに簡単だ。
しかし、香西はその学生に何もツッコミを入れなかった。その中学生が希望した学校がどこだったのかすら香西は聞かなかった。

残りの2人の学生も「中学生の家庭教師をやっていました」と答えた。
それ以外のことを言うと香西に罵倒されそうだったからかもしれない。
しかし、香西はそれらの学生に何もツッコミをいれず、罵倒もしなかった。

 

あまりにも不可解な面接だった。
筆者以外の3人の学生は「中学生の家庭教師をやっていました」と答えて香西に罵倒されず、
筆者は国家試験「第一種情報処理技術者試験」に合格したことを話したら罵倒されたのだ。

 

面接後、2度目のSPI試験を受けさせられた。前回のSPIよりも長いものである。しかし、香西のせいで動揺していて全く集中できなかった。

 

数日後、キーエンスから電話があって「2度目のSPIの結果が悪かったので落選した」とのことであった。
どうやら香西は筆者を罵倒することによって筆者のSPIの結果を下げさせて落選させるのが目的だったようだ。
しかし、何のために?

 

キーエンスは落ちた。しかし、筆者は他の上場企業を何社か受けて東証一部上場のあるメーカーに就職することになった。
どこの会社の面接でも「第一種情報処理技術者試験」のことを話したが、香西のように罵倒してくる面接官はいなかった。
他の会社の面接官は「第一種情報処理技術者試験」の話をきっかけにして、話を展開しようと努力する人ばかりだった。
それが普通だろう。香西はやはり異常な人間であった。

 

ちなみに筆者は最初に入った会社から転職して今は超大手企業(日本人なら誰でも知っている企業)で働いている。
今にして思えば、キーエンスなんて会社を受けたのはバカバカしく思える。

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